これまでのお話はこちら
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ガバッ!!!
リュー「・・・・・やっば!!あっ服・・・」
リューは慌てて、ベッドのそばに投げてあったスーツを着なおしました。
リュー「しまったぁ・・・・やってしまった・・・。」
チー「おはようリュー、どうしたの?・・・」
横で寝ていたチーも起きてしまいました。
リュー「おはよう・・・チーごめん、ちょっと俺もう行かなきゃならない!・・・あのこれ!飯代!昨日ありがとね!置いとくね!!」
1万円札を無造作にベッドの枕元に置き、急いで部屋から出ていきました。
チー「えっ・・・・。要らない・・・。・・・店じゃないんだから(笑)・・・・。この時間に出勤は無いはずだけど・・・。もしかして私のせい???・・・・えっ・・ちょっとヤダ・・・・・。大丈夫かしら・・・・。」
チーが良かれと思ってリューを泊めてしまいました。その事でマズい事になっているのではないか・・・。・・・・そういえば、リューは昨日大金を持っていました。
予感的中!!!
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15分後、カンの事務所に走って到着しました。
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カン「おい・・・・お前、今何時だと思ってるんだぁ!!」
ガンッ!!!
カンはリューが膝をついて座っている前の机にかかと落としを食らわせました。
リュー「も・・・申し訳ありません!!」
カン「アガリ納めずに女遊びかぁ!!学生気分かてめぇは!!良い身分だなぁ!!」
カンはリューの頬を指さして拭くようにジェスチャーします。
リュー「え?・・・あ”!・・・・・」
手鏡で顔を見た所、チーの口紅が顔に思い切りついていました。
慌てて袖で顔を擦るリュー。
カン「いつからそんな偉くなったんだてめぇは!!ただでさえ、こんな大変な時によぉ!!ふざけんじゃねぇぞこの野郎!!」
リュー「・・・・申し訳ありません・・。二度とこんな事がないように兄貴の事務所に直行を心がけますので・・・・。」
カン「直行が当たり前だろうが!!・・次やったら、お前の店取り上げるからな!!いいな?!取られないだけありがたく思え!!」
リュー「はい・・・。」
カン「それから、お前の事務所の連中だけど・・・・ボーーーっとしやがって・・・。側近のロンはまだ良いとしても、ほとんどが平和ボケしてんじゃねぇのか!?いざという時に動けるのかよ!!どういう教育してんだお前は!!こっちはソウマがやられてんだぞ?!わかってんのかこの野郎!!」
上司のカンに自分の事だけでなく、部下までもボロカス言われてしまいました。
いよいよ堪忍袋の緒が切れたカンは椅子から立ち上がりました。
カン「おい・・・聞いてんのか?・・・・」
リュー「・・・・・・・」
ガチャ・・・・(扉が開く音・・・・)
カン「・・・・」
リュー「・・・・え?・・・なんで?・・・」
カン「・・・に・・・・にしまさん?・・・・・」
なんとにしまがカンの事務所にやってきました。
にしま「リュー迎えに来たら、大きな声が聞こえてきたから・・・。・・・ちょっと言いすぎなんじゃねぇのか・・・・。部下を良くするためにやってる説教には聞こえないぞ?・・・・」
約束の時間になってもリューが現れない為、事務所に迎えに来ていました。
カン「にしまさん、・・・・こっちの仕事の話なので・・・・。」
にしま「それは仕方ない。そりゃそうだと思うよ。厳しいのは仕方ない。仕事ってのは厳しいもんだよな。そうやってきたのの会社は大きくなってきたんだから、俺がそこに対して文句を言ったんだから、俺はきたのに手をついて謝らないといけない。」
カン「・・・・・・」
かなり厳しい目でカンを見ました。
にしま「カン、・・・先日のバキョウの関係で幹部達が何人もやられて手薄になってる・・・・今日は身内モメしてる場合じゃないだろ・・・。それとも、・・・・お前はリューまでヤる気なのか?どうなんだカン!!」
カン「・・・・・・・。」
にしま「もしリューまで・・・・そうなったら、その時は俺はお前を許さない。昨晩ずーっとリューと話してたんだが、こいつは本当に若い頃から志している古株で、今までやられた仲間達の気持ちを背負ってるぞ。決してポッと出で出世したわけではない。きたのやカンにも食えない時から食わして貰って感謝してるとも言っていた。今や俺の、オーラス興業のビジネスパートナーでもある。確かにやってしまった事は悪い、しかし必ずリューは持ち前の覇気で必ず挽回するぞ?最後まで見届けてやらないといけない。それがきっと俺達年上の仕事だろう。」
リューも男なので、助けるつもりはあまりありませんでしたが、才能の有る人間が淘汰されてしまう事に対して我慢ができませんでした。
カン「・・・わかりました・・・今回はにしまさんの顔に免じて許します。・・・おい・・・何見てんだ!!・・・出てけお前はぁ!!・・・暫くの間、ロンにアガリ持ってこさせろ!!お前はもう信用ならん!!・・・・にしまさんに感謝しろよ!」
もしきたのにこの話が上がれば、周りの目もあるので、確実にリューは幹部を下ろされてしまいます。才能があるのだから、自分のペースでもう一度上がってくればそれでいいのですが、恐らくもぉ今のリューの境遇から考えると、一度落とされると上に上がる事が出来る見込みはありません・・・・。・・・・信用とはとても大事なものなのです。
「最後まで見届けてやって欲しい。」
最後か・・・・・
にしまの言葉がやけにリューの心に染み渡るのでした・・・・。
2人でカンの事務所を出ました。
ポン「にしまさん、お疲れ様です!!」
ポンが正面に車を回してきました。
リュー「・・・・あら?ポンさんも。」
にしま「今日はポンと3人で仕事だ。みなみ、ハクは揉めている案件があるから別行動だ。」
リュー「そうなんですか、今日は何されます?」
にしま「・・・・言っただろ?」
リュー「え?」
にしま「リューの店を日本一の店にするんだよ。」
リュー「・・・にしまさん・・・・・」
にしま「・・・カンにあそこまで言われて、悔しくないのか?・・・・こうなったらやってやろうじゃねぇかリュー!!・・・見返してやろう!」
リュー「は・・・はいっ!!!!」
ガシッ!!!・ヌルッ・・・
ん??
男の熱い握手を交わしました。
後部座席に乗り込み、仕事場に向かいます。
にしま「・・・その前に、風呂入れ(笑)口紅とか・・・指にもなんか色々ついてるぞ(笑)」
リュー「あっ・・・・すいません取れてなかった(笑)・・・よーし!風呂入って気分一新頑張りましょう!!(笑)」
にしま「モテる男は違うねぇ♪(笑)」
にしまはこの見慣れた街並みを見ながら、笑いました。
仕事はとても厳しく、信用が第一でした。仲間だと思っていても気を抜くことは決して許されませんでした。出し抜かれてしまいます。なので外部のにしまやみなみと一緒に居ると、少し気が晴れたような気がしたのでした。
何年か前から、今の仕事が向いていないのは何となく分かっていました。正直、他の幹部からもそう思われていました。陰で笑われていたかもしれません。
それでもいつか一緒にやっているロンやこれから入ってくる後輩達に「昔、自分は向いてないと思いながら仕事をやっていたんだ。」と少しだけ笑顔で話す事が出来る日が来ると信じて続けていました。
続く