サラマンダー・スパイラル ~顔と表情~

サラマンダー・スパイラル

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焼き肉「チャン太」おすすめの塩タンとハラミを堪能しました。

 

肉厚でジューシーな旨味で口の中が一杯になります。

 

にしま「滅茶苦茶美味い!!ナニコレ?!」

 

みなみ「だろ?!追加しよう、追加だこんなもんわ!」

 

久々のお酒でとても良い気持ちになってきました。前回飲んだのは実家に友人が来た時でした。なので約1か月ぶりのお酒でした。

 

これが社会人かぁ・・・・・。まだ今日始まったばかりだけど、いいもんだなぁ・・・。

 

上着もネクタイも外して、顔が真っ赤になっていました。

 

ハク「いいなぁ、私も早く飲みたい!」

 

隣の席のお皿を下げているハク。

 

みなみ「やっぱ仕事した後は酒飲まないと終わった気がしないよな。」

 

にしま「いいもん作ったなぁ、人間の最大の発明だよ。」

 

美味しい料理と酒に舌鼓を打つ2人。

 

・・・・・・・

・・・・・・・

 

 

みなみ「ごちそうさまー大将!!」

 

にしま「美味しかったです!!」

 

大将「ありがとう。またいつでも来てね。」

 

 

閉店時間になり、上着を羽織り店から出ました。

 

繁華街なので深夜でも沢山の人が歩いていました。

 

ハク「2人共お待たせ!!行こうよ!」

 

ハクは白い私服に着替えて出てきました。

 

みなみ「んん?・・・・酔ってるからかな?・・・ハクが全裸に見える・・・・。」

 

ハク「マジで酔ってるじゃん!(笑)」

 

にしま「はははははは!!」

 

みなみ「はははははは!!」

 

みなみはハクを指さして笑っていました。

 

ハク「人に指さすなよ!!」

 

みなみ「学級委員みたいな事言ってんじゃねーぞ(笑)・・・そういえば学期初めだ!雑巾持ってこい!(笑)」

 

ハク「私徹夜で雑巾縫った事あるよ!(笑)」

 

にしま「俺もだ!(笑)」

 

急に学校あるあるが始まり、盛り上がる一同。いくつになっても話す内容は変わりませんでした。

 

少し先のブロックにある、みなみ行きつけのバーに向かっていました。

 

ハク「そういえば、にしまはもぉこっちの家決まってるの?

 

あっ・・・・そうだった・・・・・。泊まるとこ決めなきゃ・・・。実家から最低限の物を持って出てきただけだったので、その他全てがこれからでした。

 

にしま「それがまだ決めてないんだよね。お金は多少あるから暫くホテルで暮らそうかな。」

 

みなみ「あー、アパート決まるまでは俺の家の1部屋貸してやるよ。一応3LDKだ。一番狭い部屋を貸してやるよ。」

 

にしま「おおマジで?狭くてOK、ありがとう。」

 

みなみ「おおいいとも。その代わり猫と同じ部屋だけどな(笑)」

 

猫・・・実はあまり得意ではありません。完全な犬派の人間でした。

 

ハク「ピンちゃん可愛いよ!私も会った事あるけど、すぐ仲良くなるよ!」

 

みなみが飼っている猫はピンと言う名前だそうです。

 

 

・・・・・・

・・・・・・

 

ドンッ!!

 

曲がり角を曲がったところで、みなみは誰かとぶつかりました。

 

みなみ「いって・・・」

 

 

 

男「・・・おい!てめぇどこ見て歩いてんだ!!

 

ぶつかった相手は黒いスーツを着たガラの悪そうな3人組でした。

 

にしま「・・・・みなみ、大丈夫か?」

 

みなみ「・・・せっかく楽しく酔ってたのに・・・・」

 

男「何スカしてんだこの野郎!」

 

ハクがその凄む男の顔を見て、ハッとします。

 

ハク「あれ?!・・・・あんたどっかで会ったよね?!どこだったかなぁ・・・・・・。」

 

 

みなみがぶつかった男を、どこかで見た事あるとハクが言い始めました。

 

ハク「絶対見た!!・・・・・・私絶対顔忘れないもん!!みなみも分かってんでしょ?」

 

みなみ「ハク、いいから。」

 

男「はぁ?何言ってんだこいつは!!・・・おい!!お前、ぶつかったんだったらすることがあるんじゃねぇのか!!謝れよ!!」

 

みなみ「・・・せっかく楽しく笑い話をしながら2件目に向かってたのに・・・・・。・・・何故俺が謝らないといけないんだ。・・・どちらかというと感謝される立場だろ。」

 

にしま「あんたも飲んでいい気分なのはお互い様だろ。しかし、・・・初対面でお前は良くないな。」

 

みなみ「にしま、いいから・・・。いいから、この馬鹿にこのままガンガンやらせとけ。

 

止めようとした俺を何故かみなみは俺を止めてきます。

 

ガシッ!!

男はみなみの胸ぐらをつかみます。

 

男「良い度胸だなぁ・・・舐めてんのかこの野郎!!」

 

にしま「おい!!」

 

割って入ります。出方次第では、いつでも相手を殴り飛ばす準備は出来ています。

 

みなみ「にしま!手ぇ出すな!!俺に任せろ!!」

 

喧嘩を止めようとしたにしまをさらにみなみは止めます。

 

みなみ「1・・・2.3か・・・・お前ら3人・・・・・土下座したって許さねぇからな。それでいいなら、やれよ。・・・・これから何があっても自分がやったことを覚えとけよ

 

男「なんだと・・・。」

 

みなみ「やれよ!!!やってみろよ!!!できねぇのか!!」

 

みなみは物凄い形相で男を睨みます。

 

3人のうち、一番奥に居た男が何かに気付きます・・・・。

 

奥の男(・・・この顔・・青っぽいのスーツとシャツに・・・暗い赤のネクタイ・・・・。白い女・・・・。もしかして・・・・。)

 

 

「おい!!お前ら何やってんだ!!」

 

 

道路の隅に停まっていた車から一人の男性が出てきました。

 

みなみの胸ぐらをつかむ男に詰め寄ります。

 

男「こいつがいきなりぶつかってきまして・・・・・それで・・・・」

 

車から出てきた男は、みなみを掴んでいた手を放させます。

 

 

「こいつ?・・・・お前・・・・この人に手出したんか?!なぁ・・・なぁ!!!」

 

男「だ・・・出してませ・・・・・」

 

・・・・・・

 

バキィッ!!!!!・・・・バキィッ!!!!!

 

車から出てきた茶髪の男はミゾオチを殴り、顔面に鼻を折る勢いで膝蹴りを食らわせます。

 

男「・・・・かはっ!!!・・・・な・・・なんで・・・」

 

 

にしま「・・・・・・」

 

攻撃がやみません。

 

「・・・おい、カン!!俺の車からアレ持ってこい!!」

 

カンと呼ばれた男「はい、分かりました。」

 

後ろに立っていた付き人が車のトランクからゴルフのドライバーを持ってきました。

 

「・・・・・・・」

 

男「・・・う・・・・う・・・・」

 

 

 

「・・・普段から・・・人の顔見て仕事してねぇだろ!!表情だけ見て仕事してんだよてめぇはっ!!

 

 

 

 

男はクラブを思い切り振りかぶります。

 

男「・・・ひっ・・・・」

 

 

 

・・・グシャアアアアッ!!!!!

 

男「うああああああああああっ!!!!・・・・・」

 

 

何かが折れる、物凄い音が聞こえました。

 

断末魔の叫びがこのストリートに響き渡りました。

 

みなみ「・・・・・・・・」

 

にしま「・・・・・・・・」

 

 

 

ハクは、何かを思い出そうと、少し離れた川沿いのベンチに座っていました。

 

 

ゴルフのドライバーを持った男はこちらを見て笑います。

 

「よぉ・・・。みんな大丈夫か?」

 

この声・・・・目・・・鼻・・・口・・・・。

 

もぉ何度も見たことがあります・・・・。忘れたくても忘れる事が出来ないくらい一緒に居ました・・・・。

 

 

にしま「・・・・きたの・・・。久しぶりだな・・・。

 

 

その男は、何年来の友人のきたのでした・・・・。何年かぶりに会いました・・・。

 

きたの「みなみ、にしま、それからお嬢さんも。脅かして悪かったな(笑)うちの若いのが。・・・おい、このゴミ事務所に連れてけ!!通行人の邪魔になるから!!うっとおしいから!!」

 

3人程男が走って駆け寄ってきます。

 

カン「・・・・おい、そっち持て。」

 

アスファルトの上で動かなくなった男を指さし、指示を出すきたの・・・・。

 

 

骨を折られた男と一緒に居た男はその光景を見て、ついに思い出しました。

奥の男(そうだ!!・・・・こいつ・・・・オーラスのみなみだ・・・・。思い出したぞ・・・・。社長のツレのみなみだ・・・・。)

 

 

ハクがやってきました。

 

ハク「思い出した!あなたの運転手だ!オセロー来た時にあの黒い車を運転させてたでしょ?!外でタバコ吸いながらあなたを待ってたもん!!絶対そうだ!!みなみ分かってたんじゃないの?!」

 

みなみは少しニヤッとします・・・。

 

みなみ「・・・・きたの、出てくるのがおせーって(笑)やられるとこだったろ(笑)」

 

きたの「みなみ、申し訳ない。これからVIP開けとくからうちの店で飲んでってくれ。にしまも白い服のお嬢ちゃんも一緒に。頭悪くてデキの悪い奴等は店には居ないから。」

 

みなみ「良いよ別に。他に行く用事があるから。他のお客さんにVIP使ってくれ。」

 

きたの「まぁまぁそう言わず。じゃないと俺の気が収まらない(笑)心から謝罪させてくれ。いいじゃねーか、にしまも居るし久々に同級生で飲もうぜ。」

 

 

奥に居た男が顔面蒼白になりました。

 

 

奥の男(へ?・・・・・こんなに親しげに話してる社長を始めて見た・・・・というか・・・・。社長の知り合いですとか言えば、この場は何も起こらなかったはずなのに・・・・。みなみはわざと・・・・言わなかった?・・・・。女連れてるのに言わなかった・・・・。もっとそれ以上の何かをうちから獲ろうと・・・したんじゃないか?・・・そうだとしたら・・・・・・・。)

 

 

 

カン「おい、お前らもだ。」

 

カンが男達の腕を掴んでを引っ張ります。

 

こいつら極悪だ!!!

 

バサッ!

 

カン「・・・・・・・。」

 

カンを慌てて振りほどき、かなり焦った表情で訴えます。

 

奥の男「・・・あ・・兄貴!!こ・・・こいつら!!悪いです!!知っててやらせました!!」

 

比較的緩やかであったカンの表情が無表情に変わります・・・・。

 

 

 

カン「・・・・悪い?・・・・何がだよ・・・・・。」

 

 

奥の男「いや・・・ですから・・・・」

 

トランクを開けるカン・・・・。

 

 

カン「・・・俺の教育が悪いと言われるんだ!!・・・お前はこれで・・・・自分の墓でも掘ってろ!!!!

 

 

カンは車のトランクの中にあったシャベルを掴み、そのまま男に思い切り振りかざしました

 

ゴッ!!!!

 

・・・バキィ!!!!

 

 

そこら中に血しぶきが上がります。

 

奥の男「うああああっ!!!あああああ!!!!」

 

カン「お前がみなみさん達に気づかねぇから!!・・・こういうことになるだろうが!!!何人居て気付かねぇんだ!!あぁ?!」

 

バキッ!!!・・・バキッ!!!

 

カン「聞いてんのかこの野郎!!!!!」

 

バキッ!!!・・・バキッ!!!

 

ギャラリーは山ほど居ましたが、全員傍観しているだけで、誰も止めることはありませんでした・・・・。

 

・・・ボコボコにやられている若い奴ら誰一人、きたのやカンに許しを乞う事をしませんでした・・・・。

 

少しでも間違っていれば、否が応でも・・・やられます。自己完結出来ないという事は確実に人の手を煩わせる事になるのです・・・。

 

 

 

きたのとカンにボコボコにされた男達は引きずられ、強制的にどこか夜の闇の中へ連行されていきました。

 

 

路上で絡まれた相手は友人のきたのが経営する店の人間でした。みなみがその事を知っていたかどうかは分かりません。

 

間に割って入ろうとした俺を止めたという事は、全て分かっていた事なのかもしれません。

 

相棒のみなみが心の奥深くで考えている事は結局の所分かりませんでしたが、みなみの身体の周りに流れる異様な気流に気付いたのはこの出来事がきっかけでした。

 

続く

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