サラマンダー・スパイラル ~悲壮~

サラマンダー・スパイラル

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オカがカンに電話をする7分前の出来事・・・・・。

 

 

港を行き交う船を眺めながらタバコを吸っているオカの姿がありました。

 

オカ(しかし・・・・ここまで話が広がってるなんて・・・バキョウの野郎、完全に会社を潰そうとしてたな・・・・。店の経営については才が有ったが、あの野郎にそんな人望が有るようには見えなかったけどな・・・。)

 

頭を掻き、これまであった事を思い出していました。

 

 

直ぐ近くの車中でハンドルを握り待機しているソウマ。

 

 

ソウマ(・・・・今頃、カンの兄貴はリューの所へ行ってるはずだ・・・。)

 

疲労困憊でした。今回の事で、内務的な役割であるオカとソウマは毎日東奔西走していました。しかし、会社が危ない状況なので弱音を吐いている場合ではありませんでした。自分たちの進退ですらも大きく左右される事件と向き合っているからです。

 

これがどうでもいいとなると、もう自分の立場などあっという間に消し飛んでしまいます。

 

ソウマ「・・・・ん?・・・・」

 

助手席の下に少し見えている茶色の革の取っ手。

 

ソウマ「なんだこれは?・・・・」

 

運転席から手を伸ばして助手席下部にあった革の取っ手を取りました。

 

ソウマ「・・・これは・・・バキョウが持っていたカバンか?・・・・。」

 

カバンを開けると札束が入っていました。

 

ソウマ(・・・この金で逃げようと思ったんだろうな・・・・。・・・これも仕事だからな・・・・悪く思うなよ・・・・。)

 

札束を取り出し、奥を確認しました。

 

ピッ!!

 

 

ソウマ「・・・・」

 

・・・・・・・・・

 

バーン!!!

 

ドカーーン!!!

 

 

 

バッグの中の札束を引き抜いた瞬間、凄まじい爆発が起こりました・・・。

 

車が爆発し、扉が吹き飛び、とても大きな火柱が上がりました。

 

 

オカ「うわっ!!!!・・・いきなりなんだ?!」

 

オカは港に突然発生した火柱を見守る事しか出来ませんでした。

 

確信しました・・・・・。

 

オカ「・・・・・・・・やりやがったな・・・。」

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

本日の仕事が終わり、急ぎ足で帰る一人の青年の姿がありました。。

 

 

リュー「少し・・・遅くなってしまった。」

 

今日の売り上げを計算し、自分の事務所からカンの事務所に向かっていました。

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

カツカツカツ・・・・・

 

 

チー「あれ?・・・・リュー???リューじゃん♪」

 

たまたま、帰りの時間が被ったようで、仕事帰りのチーと出会いました。

 

リュー「おっ・・・・チーか。」

 

チー「お疲れ様。あんたもう、ご飯食べた?」

 

リュー「まだだよ。今日はお酒しかまだ口に入れてない。」

 

チー「お店・・ラーメンくらいしか開いてないし・・・どう?私んちで食べてく??」

 

リュー「え?・・・どうしようかな?・・・」(兄貴のとこ寄らないといけないんだけどな・・・・。)

 

チー「いいから、行こうよ♪」

 

チーはリューの腕に抱きつき、歩き始めました。

 

リュー「おい、やめてって。恥ずかしいだろ・・・・」

 

チー「この時間、どうせ誰も見てないからいいじゃん!!♪

 

 

少し郊外に向かって歩くと、オシャレな白色のマンションが見えて来ました。

 

リュー「え・・・お前、こんないいとこに住んでるの?・・・・・俺が住んでるとこより遥かにいいじゃん・・・。」

 

チー「まぁね♪オーラスに居た頃にだいぶ儲けたからね。ママなんかもっといいとこ住んでるよ。」

 

 

ルームキーを回すと、自動扉が開きました。その先のエレベータに乗り込み、4Fのチーの家に到着しました。

 

リュー「お邪魔しまぁす・・・・。」

 

チー「誰も居ないよ、私1人暮らしだから。」

 

2LDKのマンションでした。入ると廊下が有り、その先でリビング、寝室、衣裳部屋と分かれていました。

 

チーの部屋のリビングは殺風景でした。家具は全て白で統一されており、ソファー、机、椅子のみ。

 

チーはバッグをソファーの上に置いて、キッチンに立ちました。

 

20分後・・・・・

 

ネギ、ショウガ、卵を使ったうどんが出来上がりました。

 

リュー「うまそー!!・・・女の人の手料理なんか何年ぶりだろう!!いただきます!!」

 

チー「え?親は?」

 

リュー「もう随分会ってないなぁ、俺15歳の頃から1人なんだわ。・・・ズルズル!!・・・うっま!!美味いわチー!ありがとう!!」

 

笑顔で美味しそうにうどんを食べるリュー。それを嬉しそうにチーは眺めていました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

ズルズル!!・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

ズルズル!!・・・・・

 

ズルズル!!・・・・・

 

チー「・・・・そういえばあんたさ・・・向いてないんじゃないの?

 

リュー「うっ・・・・ゴホゴホ!!!!・・・・は?・・・なんだよ・・・何が?・・・・」

 

いきなりチーがそんな事を言い出すのでビックリして、思い切りむせてしまいました。

 

チー「何もきたのくんのとこでやらなくてもさ、別によくない?」

 

チーは電子タバコを吸い始めました。

 

リュー「・・・・・そう・・・見える?・・・・。」

 

チー「結局儲けても、アガリを抜かれるだけじゃない?最終的にバキョウと同じ目に遭うんじゃないかって、私はそう思ってね。」

 

焦るリュー・・・・。

 

リュー「チー・・・その名前出すな!!今はヤバい。聞かなかった事にしとくから。」

 

チー「いや、良いのよ私はどうなっても。やれるもんならやってみればいいわ。・・・リューがさ・・・末路が分かっているって言うなら、私と一緒にどこか行かない?どうせ結末が決まっているのだから、どうせなら誰も居ない所で2人で暮らそうよ。」

 

リューは箸を置きました・・・・・・。

 

これまでの人生を振り返りました、少し感慨深く、苦しかったことも楽しかったこともありました。

 

 

リュー「・・・・俺だって、もう終わりにしたいなぁって・・・・・思う事がたまにある。・・・・でもな・・・・憧れて、志したんだよなみんな・・・・。一度志したからには簡単に曲げる事は出来ない。・・・俺にまだ義と呼べるものがあるのなら、その義に反する行為なんだ。一緒にやってるロンも、その他の奴らも・・・みんな覚悟はしてる筈だ。俺だけが抜けて家族団らんみたいに良い思いをしようなんて、そんな事は・・・絶対に出来ない。最終的に自分がどうなるか分かっていたとしても、それが間近にあるからと言って、目を背ける事なんてもう・・・・逆に俺達はそれがあるから常に思い切り前を向いて進む事が出来るんだから。」

 

チー「リュー自身の考えがあるならそれは否定はしないんだけどさ、それって本当にあんたが考えた言葉なの?きたのくんに言わされてるんじゃなくて?

 

 

 

リュー「バキョウも、テンもアカマツも、・・それからソウマも・・・みんな・・・死んだ。・・・。でも、きっとどこかで全員覚悟してたと思う。覚悟していた時期が来ただけの話だ。チー・・・俺も恐らくいい死に方はしないだろう・・・。その時は俺の事は忘れてくれていい・・・・。末路が分かっている悲しいストーリーを進める事が美しいと思う考え方があるって、潔くみんな信じてたって事だけを忘れないで欲しい。・・・・居なくなってしまった連中と全く思い出が無いわけじゃあない。亡くなった今も家族だと俺は思ってる。悲しみは消えない。悲しいと思えば思うほど次から次へと居なくなった人間の考えが、まるで自分に備わっているかのように浮かんでくる。きっとそうやって残された同志達に継承されて行くんだよ・・・。・・・だからその人が生きてる生きていないはもう俺達にとっては関係ないことなのかもしれない。」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

ふと正面を見ると・・・チーは少しだけ涙を流していたように見えました・・・・。

 

何故この何歳も年上の女性はこんなにも綺麗に泣く事が出来るのだろう・・・・・。

 

気持ちが少しでもわかったのでしょうか・・・・。

 

もう俺は涙を流すことが出来ない人間になってしまったのかもしれません。

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

チー「・・・えっでもちょっと待って、私が居なくなっても?(笑)」

 

 

リュー「それは仕方ない。」

 

チー「・・・・・・」

 

 

リュー「・・・・・・嘘♪こんな美味しいうどん作って貰ったし、チー以上の大泣きを俺はするかもしれない(笑)・・・でも俺が先だよきっと・・・・・・。・・・もういいやこんな話・・・。・・・・あぁそういえば!!今日初めてチーの後輩のにしまさんと話したよ。」

 

チー「あー、なんかにしまくんとかなり長時間話してたね。」

 

リュー「凄く面白くていい人だったわぁ。」

 

チー「そうね。いい子だよね。最近よくみなみくんとハクちゃんと私のお店来てくれるよ。」

 

リューは頬杖をついて、考えながら再び話し始めます。

 

リュー「でもね・・・・にしまさんずっと楽しそうではあったんだけど・・・・どこか悲しそうな雰囲気があるんだよなぁ・・。本人は持ち前のひょうきんな感じで、それを掻き消そうとしてるんだろうけどさ。」

 

チー「あー・・・・なんかそれ・・・・わからんでもない・・・。」

 

リュー「・・・多分だけど、・・・本当にとてつもない悲しみを知ってるからじゃないかなぁ?とか思ってね。・・・俺はなんだか今日話した時、そんな風に思ったわ。・・・あっ・・・・・うどんが伸びちゃう・・・・。」

 

チー「ふー--ん・・・・・。なるほどねぇ・・・・。あっそうだ、・・・今日もう遅いから泊まって行きなさいよ。」

 

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カンの事務所にて。

 

数名の男達が集まっていました。

 

カン「間違いないんだな?・・・・」

 

オカ「はい、それしか考えられません。」

 

カン「幹部格の人間全員にこの件を伝えた。死ぬものぐるいで関わった人間を探せと。こっちも総出で行くぞ。もう・・・・どこにあいつのトラップが潜んでるかわからねぇぞ。」

 

 

カン以外の人間は下を向いていました。

 

 

オカが静寂の中口を開きました。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

オカ「・・・お・・れ・・」

 

カン「なんだ?なんか言ったか?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

無表情だったオカは天井を見上げ睨め付け、汗をほとばしらせながら叫びました。

 

 

オカ「俺はもう我慢できねぇ!!関わった奴ら全員見つけだしてやる!!・・・バキョウ・・・・何が俺に感謝する日が来るだ・・・・。お前の派閥の連中全員根絶やしにしてやるからな!!!お前が生きていても死んでいてもこれは俺にとってなんの関係もない!!ソウマの仇だ!!この俺の人生全てをかけて、・・・お前を本当の意味で討つ!!」

 

続く

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