これまでのお話はこちら
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※ まとめ記事の下部に登場人物紹介がありますので、ネタバレ等配慮していますが、注意願います。
イツキ「・・・・あの野郎・・・道具持ってやがったのか・・・。」
山の林道を島民達と共に歩いているイツキ。
島民「あそこの親分(ハクの父親)が度々この山に訪れている姿を目撃されていましたが。まさかピストルを隠し持っていたなんて・・・・。」
イツキ「・・・叔父貴の事だから、持っとるだろうなぁ・・・一丁くらいは。・・・途中でやられた連中の姿を見たが、・・・刀まで持ってやがる。・・随分本業から離れて鈍っていると俺は思っていたが・・・容赦しなくても良さそうだな。」
島民から情報を聞き出していた所、父が昔所有していた武器を獲得しに部下達が山に上がったという考え方が今の所強そうです。
父はあの洞窟の場所を島民の誰にも知られずに守っていた、という事になりそうです。ダマテはよく父の洞窟を覚えていてくれました。こんな島の半分近くを占める大きな山のどこかにある洞窟です。もし、ダマテが父の洞窟の位置を覚えていてくれなかったら、私達は島民の襲撃に耐えられず、ノブハラ達の応援を待たずして全滅していた事でしょう。
暗闇に紛れて隠れるという意味だけで山に登ったわけでは無い事が分かりました。
イツキ「はい・・・・。」
ハイバラから連絡がありました。
ハイバラ「サキヅカがやられた。四肢が逆方向になって木に人形みたいに吊るされてやがる。これをやったのはあのガキどもだ・・・あのノブハラとかいう辺見の部下・・・・どうも見覚えがある・・・。直接会ったわけではないが・・・・。」
イツキ「さ・・・サキヅカが?!・・・・・・どこでですか?!」
ハイバラは今回のハクの会社襲撃の任務を受けた時から、ノブハラをかなり警戒していました。上司から写真や資料を受け取り、構成員全員調べてからこの島に着きましたが、何かノブハラに対して圧倒的な違和感を感じたのです。かなり世間から恨みを買う仕事ではあったのですが、その仕事を長年やっていたからこその勘でした。表情ではなく面構え・・・そういう事なのでしょうか・・・・。
ガコッ!!
・・・
大きな音に気付いた島民が叫びます。
島民「うわぁああああ!!!!なんだあれはー!!!!」
先頭付近の島民達が上を見ながら叫びました。
それに続いて、他の島民やイツキも頭上を見上げました。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
大岩が崖の上から降ってきました。
ダマテが崖から落ちた時にこの大岩を発見していました。大岩にかかっていたツルにしがみ付いて落下することなく助かったのです。
怪力のハネダも居ます・・・・大人が4人も居ればなんとか転がして動かすことが出来る・・・。
島民「全員戻れー!!!!」
イツキ「あの野郎!!!!」
ガラガラ!!!・・・
ゴロンゴロン!!・・・・・
ダマテが見つけた大岩が物凄い勢いで崖を下ってきます。
ボカーーン!!!!
凄まじい地響きと砂煙と共に大岩は島民達の列に落ち、林道を破壊しました。
そこら中で島民の叫びが聞こえます・・・・。阿鼻叫喚とはこのことです・・・・。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
イツキ「・・・・く・・・・そ・・・・・・」
地面に頭を強打したイツキは倒れました。
下敷きになったものも居れば、破片を受けて絶命した者も、林道から更に下の道に転落した者も居ました・・・・。
ダマテ「・・・・・・・・・・・・」
ノブハラ「・・・・・・・・・・・」
ハネダ「・・・・・・・・・・・」
ハク「・・・・・・・・・・・・・・」
4人は崖の中腹に林道を見下ろしながら立っていました。
これで・・・少しでも死んていった仲間達の報復が出来たのでしょうか・・・・・。
ノブハラ「さっきイツキの声が聞こえた。ハイバラ勢はハイバラ含めて、あと3人。恐らく全員バラバラに動いているんだろうな・・・・。」
先頭に居たダマテが私達の方に振り返りました。
ダマテ「・・・・お前ら分かってると思うけど、・・・・全員殺るからな。俺は少なくともそのつもりで行くぞ。・・・・・・おい、ノブハラお前わかってんだろうな。アリタやられたんだろ。」
ノブハラ「・・・・・はい・・・・。」
ダマテは断固として相手を許さない方針でした。私も当然そのような考え方でしたが、口に出していう事がどうしても出来ませんでした。
この場を上手くやりきってまずは逃げ切る事。仕返しは自分が生きてさえいれば体制を整えた後でも出来るのです。それを、今どうしても強く兄貴分のダマテに言う事が出来ませんでした。
しかし、このダマテの奇襲作戦がありこれでこの山の正規ルートである林道を潰すことが出来ました。これで私達の追手が来るのに時間がかかりそうです。
ハク「・・・・・・・・・・・・・・・」
ノブハラ「・・・・・・・・・・・・・・」
私達4人は再び降りて来た崖を登り、再びこの明ける事のない暗闇を進んでいきました・・・・。