おっす!オラエイル!いっちょやってみっか!!♪
お疲れ様です、エイルです。
私の友人でベアという男がいます。
昔、ベアから聞いた話があるのでここで紹介しようと思います。
ベアは学生の頃に、バイトで飲食店で働いていました。
ラーメン屋やレストランでバイトをし、自分の生活費を稼いでいました。
多い時で週6。ほぼ社員と言っても過言ではないのではないかと思います。下手したら社員よりも出勤日数が多い時もありました。
料理の腕前が上がり、学校卒業ししたらうちで働けとラーメン屋の店主に言われるほど仕上がっていました。
地元に帰ったら本当にのれん分けしてもらえるかもしれません。
今日もそのラーメン屋で腕を振るっていました。
ベア「チャーハンいっちょう!!!」
ホール係「ベアさん!ラーメン定食2つ!!」
ベア「オーッケーイ!!!!」
本日もランチは満員御礼。張り切っているベアの腕がガンガン鳴ります。
今日は一体何人前のラーメンとチャーハン、餃子を作ったのだろう・・・・。何回腕を振っただろうか・・・・。覚えていません・・・・数えきれない・・・・やたらと忙しいのです・・・。厨房の暑さと疲労で今にも倒れそうです。
閉店間際になると腕の腱が大体おかしくなっています。
ベア「餃子とチャーハンあがり!!ホールの人!!ビールと枝豆出してよ!!」(いててて・・・・腕が痛い・・・・。)
ホール「はいっ!!」
店主「・・・・」(よーし、なかなかいい面構えになってきたな・・・)
毎日のバイトで疲労困憊でした。でも自分の為です。自分の生活を少しでもよくしようと思い、始めたのです。決して文句など言えません。
ベア(・・・あー疲れた。今日はここまでかな?明日は朝からバイトだ・・・・。飲食店は本当に疲れるわ・・・。体力仕事だ・・・・。)
ベアはぬるくなってしまった持参したコーラを持ち、休憩に入ろうとした時、たまに来られる老夫婦が閉店前に入店してきました。
ベア「あっ・・・いらっしゃいませー!!」
人気店の厨房に休憩などありません・・・。休憩など都市伝説なのです・・・。
ホール係が帰ってしまった為、やむおえずベアが注文を聞きに行くことになりました。
あぁ・・・もう少しでバイトおわりだったのに・・・・。
ベア「いつもどうも、ご注文はお決まりですか??」
おじいさん「いつものラーメン半チャーハンセットで。」
おばあさん「私はチャーハンと鶏ガラスープの小を。」
ベア「かしこまりました」
今にも疲労で千切れそうな腕に鞭を打って再び厨房に戻ります。
店主「・・・・」(良いラーメン屋の顔になってきたな。)
この店の味をいつも食べに来ているのだから、絶対に味を変えてはいけません。毎日味にばらつきがあってはいけません。いつもと同じ味、同じ量で提供する事ができなくてはいけません。それがプロなのです。
ベア「おまたせしましたー!!」
配分を間違えずに、老夫婦に提供する事ができました。
そして閉店の看板を出しに店外に出ました。
ベア(あー!疲れた!酒飲みてぇ!!・・・)
看板を出し終えて、くたくたになりながら店内に戻ります。
ベア「はー・・・・・」
おじいさん「美味しいよねぇ」
おばあさん「ねぇ、いつも美味しいわよね」
老夫婦に満足頂けているようでした。よかった・・・。
何か確信めいたような会話でした。
おじいさん「・・・あなた、いつも頑張ってるね。」
いつもは黙って食べて帰られるのに、今日は急にそのおじいさんから声をかけられました。
ビックリして一瞬店主の顔を見ますが、店主はレジに居たため、自分に声をかけられてる事に気付きます。
ベア「へ?・・あっ僕ですか?・・・・・あっありがとうございます!!」
おばあさん「本当にあなたが作ると美味しいのよ。」
ベア「え?・・・・」
おじいさん「私達は昔から妻とこのお店に通っていてね。昔からのファンなんだよ。」
ベア「そうなんですか・・・ありがとうございます!」
おばあさん「あなたが作っている時だけ食べに来てるのよ。」
ベアの体力はみるみるうちに全回復していきます。
ピカーーーン!!♪
おじいさん「あなたはまだお若いね、学生さんでしょ?勉強もアルバイトも大変だけど頑張ってね。」
ベア「はい!!ありがとうございます!頑張ります!!」
その日は疲れが吹っ飛び、腱なんか痛くありません。家までスキップして帰宅しました。
普通にいつものようにバイトをしていただけなのです。嬉しいなぁ、こんなうれしい事を言われるなんて、頑張ってやっててよかったぁ・・・。
店主ほどは上手には作れませんが、お客さんから感謝されていました。今まで店主から学んで、幾度となく腕を痛めながらも積み重ねてきた甲斐がありました。
学校を卒業する寸前までバイトをしていました。その老夫婦は自分がバイトに出ている時だけ食べに来てくれていました。結局、最後のバイトの日も来てくれました。
ベア「就職決まって、今日で一旦地元に帰る事になりました。ありがとうございました。」
感慨深そうにうなづく老夫婦。
おばあさん「そうかね、それはよかったねぇ。おめでとう。」
店主が珍しく会話に割って入ります。
店主「いやね、こいつに俺の弟子になってうちで働けって言ったんですよ。そしたらパソコン系の仕事に就くって言うもんですからね、勿体ない。あんなよく分からん機械をかまって何が楽しいんですかね。近頃の若いもんの考えはわかりませんよ。ラーメン屋で食っていくチャンスを逃そうとしていますからね。当たれば普通のサラリーマンより、よっぽどいい暮らしが出来るってのに。・・・・ポルシェやBMWだって乗れるぞ本気で。」
店主はなんとも言えない顔でベアの方を見ています。
おじいさん「店主の言う事は分かります。しかし彼はどこに行っても成功しますよ。いつも頑張っているのだから。こうしてファンを作り、仲間から好かれて、その選んだ道を進んでいくと思いますよ。そういう顔をしていますよ彼は。」
店主「お前はホントに・・・・まぁパソコン駄目になったらこの店に戻って来い。次に会う時の俺は、バイトの時みたいに優しくは無いけど、雇ってやる。必ず雇ってやる。その時は俺がお前の親だ。駄目なら戻って来い、俺がお前の道を作る手助けをしてやる。・・・なっ!!」
バンッ!!
肩を思い切り叩かれるベア。
ベア「いって!!!」
全員「はははははは!!」
みんなの優しさに感動するベア。
店主やお客さんから激励の言葉を受けて、泣きながら送り出されました。
何年か後・・・・・。
ゾロゾロとキマリの店に集まる私、ベア、いとうし、いっしープロ。
キマリ「いいよ、厨房使っても。休憩時間だから。」
キマリの許可を得て、厨房に入るベア。
私「チャーハン作ってくれるって。」
いとうし「腕前披露だな。」
ラーメン屋で鍛えた腕をいよいよ私達に見せてくれるということで、今日はベアのチャーハンを食べることになりました。
いっしープロ「俺、チャーハン好きなんだよ。」
キマリ「みんな好きだろ(笑)」
ベア「お待たせー!!」
暫くしてチャーハンが出てきます・・・。
うまそぉー--!!!
出来立てで、滅茶苦茶いい匂いがします。中華一番のように、料理が黄金色に輝いて見えたのでした。
ピカーーーーン♪
いただきまーす!!
全員我さきへとレンゲをチャーハンに突き刺します。
パックっ!!!
モグモグ・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
全員「しょっぱー!!!!!!」
無言で慌てて水を探し出すキマリ。
ベア「やべーごめん、塩を入れ過ぎた!!なんだったら、味見も忘れてた!!(笑)」
配分間違えただろ。
オヤジ(師匠)に怒られるぞこの野郎!!
それからというもの、ベアは二度と私達に腕を振るう事は無くなりました。
リベンジお待ちしています!!!ベアさん!!そろそろお願いします!!!!