釣りに纏わる怖い話 ~渓流~ 後編

怖い話

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釣りに纏わる怖い話 ~渓流~ 前編
お疲れ様です。 滅茶苦茶暑いですね。こんな日にはビールを飲んで枝豆を食うのが一番ですよね。 ひんやりするには、かき氷やアイスクリームを食べるのもいいかもしれません。 飲み物、食べ物以外では、「怖い話」、これが一番ひんやりし...

 

 

 

友人のカイハラからの紹介で、釣りが趣味の素敵な女性とお付き合いする事になりました。

 

毎日楽しかったです。毎日毎日。このまま春ような恋が続くといいけどなぁ。

 

僕の愛車であるマニュアルジムニーの助手席にニカを乗せて、秘密の釣りスポットに向かっていました。

 

一応テント、キャンプ道具や釣り具を乗せれるだけ車に乗せました。

 

ニカ「ねぇ・・・後部座席パンパンだね(笑)」

 

タクミ「テントとか大きい物を乗せてるからね(笑)道中の道がかなり狭いから小さい四駆車1台で行った方が良いんだわ。多分ニカは運転できないだろうと思って(笑)

 

ニカ「その釣り場って誰に教えて貰ったの?」

 

タクミ「ああ昔この辺で道に迷ってね、1人でたまたま見つけたんだよ。・・・あっここ危ないよ!」

 

ガコンッ!ガコンッ!

 

 

車が大きく揺れるほどの悪路でした。

 

ニカ「・・・凄い道だね。」

 

両サイドの木々で空が見えないほどの山間部でした。普段誰も通らないであろう道をドンドン進んでいきます。

 

舗装もされていない状態ですので常に車はガタガタ揺れています。

 

ニカ「・・・てかホントにこの先にあるの?地元の人でも知らないんじゃない?」

 

タクミ「あるよ心配すんなって。かなり釣れるから俺何回も行ってんだわ。・・・何回も行ってるけど、マジでそこで誰とも会った事ないなぁ、大体1人。」

 

ニカ「へぇーそうなんだぁ・・・・・あっ!水の音が聞こえて来たようなきがする!!」

 

ニカは助手席の窓を開けました。

 

 

悪路を大体20分~30分くらい走り続けて、道が少しだけ開けてきました。

そして目の前には・・・・綺麗な河原が見えてきました・・・。

人間の手がかかっていない完全な純自然でした。

 

 

ニカ「えっ、凄いねここ!!♪こんな所あったんだ♪」

 

タクミ「いいでしょ?♪なんだか釣れそうな感じでしょ?♪」

 

車を空きスペースに停めて、車に引っかけて設置するタイプのタープを取り付けました。

 

 

ニカ「早く行こうよ!」

 

子どものようにはしゃぐニカ。その姿を見て僕は嬉しかったです。・・・・

 

 

可愛いなぁ・・・。

 

 

ニカが前を歩いていました。

 

 

タクミ「んんん?・・・・・・」

 

 

前方、ちょうど川の反対側に大勢の人の姿がありました。・・・まさかこんな所に人が居るなんて・・・・。

 

・・・はじめてだな・・・ここで人が居るのは・・・・。

 

せっかくニカと二人きりだと思ったのに・・・。まぁそんな事言ってもしょうがないか・・・。

 

 

 

ニカ「あれ?・・・向こう岸に人が居るね・・・・」

 

タクミ「まぁ俺が知ってるような釣りスポットだもんな。それなら、みんな知ってるか(笑)」

 

ニカ「そうよね!(笑)・・・タクミ!どっちが沢山イワナ釣るか競争しよう!」

 

タクミ「もちろん!!絶対勝つ!!」

 

ニカ「よーい!スタート!!」

 

イワナ釣りがスタートしました。

 

ニカと離れて集中して釣りをしていました。

 

僕がこのスーパー釣りスポットを教えたのだから、絶対に釣って欲しい!そして俺も釣りたい!

 

 

 

何投目かで1匹釣れました。

 

ニカもそれに気付いたようで、遠くから笑っていました。

 

暫く・・・約1時間が経ったところでした・・・。

 

何気なくチラッとニカの方に目をやると・・・・

 

先程の反対岸に居た人に話しかけられていました。

 

タクミ「あれ?・・・なんかあったのかな?・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ニカ「・・・おーい!!・・・・タクミー!!!」

 

 

タクミ「はー-い!!」

 

バシャバシャバシャ・・・・

 

走ってニカが居る方向へ行きました。

 

・・・・・・・・

 

 

タクミ「どうした?ニカ」

 

ニカ「なんかね、今そこでバーベキューしてるんだってさ♪よかったら一緒にやらないかっておじちゃんに誘われたんだけど、どうする?」

 

反対岸を見ると、煙が上がっていました。肉が焼けるいい匂いがしてきます。

 

タクミ「え?いいの?」

 

ニカ「うん、よかったら2人で来てねって言われたよ!」

 

タクミ「ニカどうする?釣り一旦切り上げるか?」

 

ニカ「そうね、ここで会ったのは何かの縁だし、せっかく誘われたし、いこっか。釣りする時間はまだ時間はあるもんね。」

 

 

おじさん「・・・お兄さん!全然気にしなくていいよ!!釣りの邪魔じゃなければおいで!!」

 

反対岸から良い人そうな小太りのおじさんが声をかけてきました。

 

タクミ「あっ、ありがとうございます!!・・・・・じゃあせっかくだし、いこっか♪」

 

ニカ「うん♪」

 

おじさんの誘いに乗り、一旦釣り道具を車にしまって、反対岸に向かいました。

 

少し流れが強かったですが、なんとか渡り切りました。

 

到着すると、約10人くらいの老若男女が居ました。

 

タクミ・ニカ「こんにちわー、なんかすいません呼んで貰って・・・。」

 

小太りのおじさん「いらっしゃい!ごめんね、邪魔じゃなかった?」

 

金髪の青年「おっようこそようこそ!!君達は俺と同い年くらいかな?女の子で釣りをするなんて珍しいね!!」

 

とても気さくな人達でした。

 

鉄板で肉を焼いているパーマをあてたおばちゃんも声をかけてきます。

 

パーマおばちゃん「お肉焼けたから、いっぱい食べて行ってね!♪お酒もあるからね!!♪」

 

タクミ「え?・・・・いいんですかこんなに・・・・。」

 

お酒を渡されてテーブルの中心に案内されます。

 

ニカ「えー・・お酒まで・・・いいんですか?・・・・」

 

パーマおばちゃん「いいのよ。私どうせ飲めないんだから、私の分を飲むといいわ♪」

 

痩せた青年「おばちゃんは飲めないもんね。」

 

少し離れた所で赤ちゃんにおっぱいをあげている若い女性も居ました。

 

なんだかとても素敵な集団でした。年齢が違くてもこんなに仲良しな皆さん・・・・。

 

でも・・・・どうしても・・・・拭いきれない違和感に僕達は包み込まれていました・・・。

 

 

・・・一体、この人達はどういう集団なの?・・・・

 

 

性別も、年齢もバラバラ・・・・。SNSで知り合った何かのサークルの集まりなのでしょうか・・・。

 

服装も軽装な人もいれば、ジーパンやコートのような服を着ている人もいました。

 

季節感、人間の持つ雰囲気など一切規則性の無いメンバーの中に釣り人の僕たちは居ました。

 

 

・・・・・・・・・

 

モグモグ・・・・・

 

タクミ「お肉滅茶苦茶美味しいです!!」

 

背が高いおじさん「でしょ?それ俺が持ってきたんだ。沢山あるから一杯食べて行ってよ。」

 

小太りのおじさん「この辺はイワナが釣れるでしょう?」

 

お酒がすすみ、皆さんと様々な話をしました。

 

・・・本当に良い人達だなぁ♪

 

 

金髪の青年「彼女もお酒飲みなよ!」

 

ニカ「あっ・・・ありがとうございます!!でも、私は今日はいいです!帰りの事もあるので!」

 

タクミ(泊まらんのんかい・・・・・。)

 

せっかくテント持ってきたのに・・・がっくし・・・・

 

てか多分ニカも飲みたいよなぁ・・・俺が先に飲んだから我慢したのか・・・申し訳ない・・・・。帰ったら飲み行こうね・・・。

 

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

小太りのおじさん「あっ、もしかしてお二人は付き合ってるの?・・」

 

 

タクミ「えっと・・・・はい・・・付き合ってます♪

 

ニカ「はい・・・」

 

少し照れくさそうに答えると、みんなとても笑顔になりました。

 

金髪の青年「そうなんだ♪♪いつから?」

 

ニカ「1週間前くらいからです・・・」

 

 

金髪の青年「そうなんだ!!それじゃあさ!!・・・みんなで幸せなら手を叩こうを歌ってあげようよ!!」

 

小太りのおじさん「いいねー!!その歌大好きなんだよ。」

 

パーマのおばさん「いいわねー!!音楽無いから、歌のプレゼントしましょう!!」

 

ニカ「えーちょっと(笑)・・・嘘でしょ(笑)」

 

タクミ「ちょっとやめてくださいよ(笑)恥ずかしいじゃないですか!!(笑)」

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

 

せーの!♪

金髪の青年が音頭を取り、全員で歌を歌い出します。

 

 

しーあわっせなら、手を叩こう!!♪

 

ピシャ!!ピシャ!!

 

しーあわっせなら、手を叩こう!!♪

 

ピシャ!!ピシャ!!

 

タクミ「ちょっとみなさんホントにやめてくださいよ!(笑)」

 

ニカ「・・・・・え・・・・・・」

 

僕は酔いが回っていたこともありましたが、恥ずかしくてしっかり周りを見ていませんでした。

 

しーあわっせなら態度でしめそうよ!!♪

ほらみんなで手を叩こう!!♪

 

ピシャ!!ピシャ!!

 

 

 

 

ニカ「きゃあああああああああああああ!!!!!!!!」

 

曲が終わった瞬間にニカが大声で叫びをあげました。

 

 

なに?!なにが起きた?!・・・・ニカの絶叫で酔いが完全にさめました。

 

 

タクミ「ニカ!一体急にどうしたの?!」

 

ニカは・・・・完全に気が動転していました・・・・・。

 

ニカ「・・・た・・・タクミ!!!帰ろう!!!

 

タクミ「なんだよ!!どうしたんだよ!!!」

 

ニカに手をいきなり強く手を引かれたので椅子から倒れてしまい、せっかく入れて貰った肉をこぼしてしまいました。

 

ガシャン!!!・・・・

 

タクミ「おいニカ!!何すんだよ!!・・・・皆さん、なんかすいませんいきなり(笑)・・・・」

 

 

ニカ「いいから!!!帰ろうってば!!!!帰ろうって言ってるのが・・・分からないのか!!!」

 

タクミ「・・・ひぇー・・・・わ・・・・わかった・・・・。わかったから・・・。」

 

 

小太りのおじさん「もう少し・・・・・・・・・・だった・・・・・・。」

 

 

ニカのあまりの剣幕に圧倒されてしまい、バーベキューに誘って貰い歌のプレゼントまで貰った皆さんに頭を下げながら、来た道を戻りました。

 

ニカはものすごい勢いで渓流を横切ります。

 

ニカ「タクミ!!早く!!走ってよ!!」

 

余りにも急かすので車のとこまで猛ダッシュで戻りました。

 

タクミ「てかニカ!ありゃねーわ!!皆さんに失礼だろ!!あんな言い方は!!親に習ったのかよ!!」

 

自分達によくしてくれた皆さんに申し訳ない気持ちで一杯でした。先程のような態度をとった、ニカに対して苛立ちがこみ上げてきました。

 

ニカ「タクミは本当に見てないんだね!!・・・詳しい事は後で話すから車のキー貸してよ!!

 

 

ニカは脚立に上り、車に取り付けたタープを取り外していました。

 

タクミ(なんだよこいつ・・・・・・。今後どうやって接していけばいいんだ・・・・。滅茶苦茶情緒不安定な子じゃん・・・・。)

 

 

ニカ「・・・ねぇタクミ・・・・私の好き?・・・・」

 

タープを取り外しながら、目を見ずに質問をしてくるニカ。

 

タクミ「え?・・・うん・・・。そりゃ・だって・・・」

 

ニカ「それなら信用してくれないかな?!私の事!!

 

超至近距離でそんな事を言われてしまいました。

 

タクミ「わ・・・わかったよ・・・・。」

 

 

2人でタープを外し、直ぐに車に乗り込みました。

 

マニュアルでしたが、ニカは慣れた手つきで動かしていました。

 

ニカ「・・・・・急いで帰ろう!!!」

 

タクミ「わかったよ・・・・。」

 

 

あーあ・・・・せっかく楽しい釣りキャンプで、良い仲間にも出会えて、バーベキューにもありつけたのに・・・・。

 

悪路を一言も会話せず全速力で戻り、ようやく普通の山道に戻りました。その頃には夕方になっていました。

 

 

少し下ったところに自動販売機コーナーがあるのですが、そこでニカは車を停め、エンジンを切りました。

 

 

ニカ「・・・・・・・・」

 

運転をしていたニカは額に物凄い汗をかいていました・・・・・・。かなり驚いたような顔で助手席のこちらを向きます・・・。

 

タクミ「ニカ・・・・凄い汗だ・・・・大丈夫か?」

 

ポケットからハンカチを取り出し、額の汗を拭きます。

 

ニカ「タクミ・・・ごめんね・・・・。あのね・・・・」

 

 

タクミ「・・・ちょっと飲み物買ってきてあげるね!!」

 

がしっ!!!!

 

車外に出ようとした所、ニカに思い切り腕を掴まれました。

 

タクミ「え?」

 

ニカ「行かないで!行かない方がいいよ!!」

 

いつになくマジな顔です。マジなのです・・・・。

 

タクミ「いや・・・落ち着いて、話せる?・・・・」

 

 

ニカ「うん・・・・・」

 

 

あのバーベキューで何があったのか・・・・。ニカは話してくれました・・・・。

 

 

 

 

ニカ「あのね・・・・。幸せなら手を叩こうって歌ったじゃん?・・・。・・・普通ならどうやる?・・・タクミなら。・・・やってみてくれる?」

 

タクミ「え?・・・・こうかな?」

 

パン!パン!

 

 

ほんの少しだけホッとした表情のニカ・・・・。

 

ニカ「だよね?普通は手のひらで・・・こう・・・やるよね?」

 

パン!パン!

 

タクミ「うん・・・・・そりゃそうだろ(笑)それがなんだよ。」

 

 

 

 

ニカ「・・・・あの人たち全員、・・・手の甲で叩いてたのよ!?笑いながら大勢で手の甲で叩いてたんだよ!!ピシャ!ピシャ!って!!!変な音だと思わなかった?!凄い光景だったよ!!私がおかしくなったんじゃないかと思って・・・・。」

 

思い出しながら、恐る恐る話すそのニカの顔も血の気が引いていました。

 

 

タクミ「まっ・・・・マジで?!・・・・でもなんで?・・・やりにくいじゃん!手の甲なんて・・・・。」

 

ニカ「・・・・・それは・・・・・・それは・・・・・」

 

タクミ「・・・・うん・・・・・・」

 

 

あまりにも真剣な表情で、目力強く、答えます。

 

 

 

ニカ「あの人達はもう合掌が出来ないのよ!!!全員死んでるから!!!!」

 

 

 

END

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