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ガイド「おはようございます、タクミさん、ニカさん。」
ホテルのロビーにて、今日島を案内してくれるガイドと出会いました。
タクミ「今日はよろしくお願いします。」
ロブ「・・・いつものガイドさんではないんですね。」
ガマ「私ガイドのガマと申します。ええ、今日は急遽いつもの担当者が来れなくなってしまって私が代わりに来ました。島の事は一通り知っていますので、問題無いですよ。」
ロブ「元々来るはずだったガイドの方の名前は?」
ガマ「えー-っと・・・・イカルドさんですね。」
ロブ「そうですか。」
ロブは小声で「合っています」と私とニカに伝えてくれました。
このガマという男、色黒の肌でタンクトップにハーフパンツ、ビーチサンダルという非常に軽装でした。
いつものガイドじゃないって聞いたけどまぁ島の事を知っているなら、別に問題ないか・・・・・。
ガマ「今ホテルの前に車を停めさせて貰ってるんで、乗って釣り場に行きましょう。」
ガマが運転する車に乗り込み、湾付近にある釣り場に到着しました。
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釣りを早速2人で始めましたが・・・・・入れ食い!!!
ニカ「凄い釣れるねー!!!!♪楽しい楽しい!!!」
タクミ「見てよニカ!!持ってきたバケツパンパンだよ!!」
ガマ「えええ!!こんな釣れるんですね!!ちょっと容器が足りないので、魚入れる容器買ってきますね!!」
ガマが教えてくれた釣り場は本当に良く釣れるスポットでした。
なんやかんやガマがサポートしてくれた事もありましたが、とにかく順調に魚は釣れて行きました。
しかし・・・・このカラフルの魚達・・・・
多分調理すれば美味しいんでしょうけど・・・・・。
どうしても食べる気にはなれませんでした・・・・・・。
そうだ・・・・私達は釣るのが楽しいのです。
ガマに説明して、釣った魚は現地の住民にあげる事にしました。
ガマ「あっそうなんですか??もったいない・・・・それなら港町の方にあげましょうか。」
ニカ「はい、どうぞー♪」
私達が釣りをしているのを少し離れた場所から見学していた現地の子ども達を呼んで、頭を撫でながら魚の入ったバケツを渡すニカ。
タクミ「・・・あっニカ!そろそろ行ってくるわ!」
ニカ「うん♪!!行ってらっしゃい!!♪楽しんできてね!♪」
タクミはガマと一緒にヤギ狩りに出かけました。
私はそうだな・・・・、現地の子ども達と遊んで2人を待っとこうかな。
子ども達が持ってきたボールで遊びながら待つニカ・・・・。
子ども達が帰る時間になった為、ガイドのガマが作ってくれていた休憩用のハンモックに寝転んで本を読んでいました。
ニカ(タクミ遅いなー・・・・まぁいっか。タクミがやりたい事をやればいっかー♪)
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タッタッタッタッタッタ!!!
ガマ「・・・・・ニカさぁー--ん!!!!!」
血相を変えてガマが全速力で走ってきました。
ニカ「んんん???・・・ガマ!?どうしたの?!」
ガマ「タクミさんが!!大変です!!一緒に来てもらえませんか!!??」
ニカ「えええ?!何があったの?!ケガしたとかそういうこと?!」
慌ててハンモックから飛び降りて、ガマの方に向かいます。
するとガマは・・・・・・・
そのままニカに抱きつきました。
ニカ「・・・・何?!きゃあああああああ!!!!!!」
ニカは必死に抵抗しますが、屈強なガマはびくともしませんでした。
ニカ「なんなのよもぉ!!!!!」
ニカはタクミからもしもの時の為に渡されていた防犯ブザーのボタンを押しました。
ビビビビビビビビビビビビビ!!!!!
辺りに物凄い音が鳴り響きました。
防犯ブザーの音にビックリしたガマは私を投げ飛ばして逃げていきました。
ニカ「・・・・くぅー-・・・・。」
先程ガマに押し倒された時に膝を痛めてしまったようです。
足を引きづりながら港付近を歩いていると、先程迄遊んでいた子ども達が近寄って来て私を助けてくれました。
15分後・・・・・
ロブ「ニカさー--ん!!大丈夫ですか!??」
ロブが車に乗って迎えに来てくれました。
私は現地の子ども達に囲まれていました。
ニカ「あぁロブ!!た・・・タクミが・・・・タクミが!!・・・・・」
必死で先程あった出来事を伝えようとしましたが、上手く話す事が出来ず、一度車に行き落ち着いてから話す事にしました。
ボブ「ニカさん、何があったんですか?教えて頂けないでしょうか??」
水を飲んで落ち着いた私はあったことを全てロブに伝えました。
ロブは直ぐに警察へ連絡を入れて、タクミを探す手配をしてくれました。
ロブ「ニカさん、警察にある程度情報を提供した後はホテルで休んでいて下さい。絶対に行方不明なんかにさせるものですか。せっかく私が育った尊敬する日本の方がこの島に来てくれたんだ。嫌な思い出のまま帰らせるわけにはいきません!!」
責任感あるロブ、絶対に徹夜でも探して見つけ出すと言ってくれました。
そのまま現地で待っていた所、直ぐに警察がやってきました。
ロブに通訳して貰い、先程あったこと全てを警察に詳しく話しました。
警察は直ぐに島での飛行機、船全ての移動手段を停めて調査に入りました。
すると驚くべきことがわかったのです。
ホテルの部屋にて待っていると、ロブが来てくれました。
ロブ「ニカさん・・・・さっき警察の方から連絡がホテルに入ったんですが。」
何か言いにくそうな感じのロブ・・・・。
ニカ「タクミ・・・見つからなかったの?・・・・」
ロブ「ええ・・・・。そうなんです・・・。あとですねガイドの事の情報が先程入って来たんです。」
ニカ「ガイドってタクミを連れて行って、私を襲った人の事でしょ??」
ロブ「はい、そうです。ガマという名前だったと思いますが・・・・。彼が島に来たという履歴が一切残ってないそうです。」
ニカ「え?・・・どういうこと?・・・・・・」
ロブ「飛行機の搭乗履歴も、連絡船の乗船記録もありませんでした。」
ニカ「え?・・・・・なんで?・・・・・」
ロブ「となると、自分の船で来航したか、元々島に住んでいた可能性があります。こちらについても直ぐに確認しましたが、島には確実に彼は住んでいませんし、持ち船の来航は今日はたまたまなかったそうです。」
おかしいのです。だったら何故彼は私達の目の前に現れたのでしょうか・・・・・。
旅行会社に問い合わせた所、元々はロブが言っていたイカルドというガイドが私達と同行する予定でした。しかし、イカルドが体調不良で来れなくなってしまい、代わりの人間を島へ派遣したつもりでしたが、その人間も消息不明。
代わりの人間と私達に接触したガマとが入れ替わった可能性がそこにはありました・・・・・。
ニカは直ぐにホテルを出て、必死で島中を探し周りました。
ロブもホテルの従業員も一緒になって必死にタクミを探しました。
大勢でタクミを探しました。島の出入りを制限する対応も継続してとってくれていました。
なのにタクミは見つかりませんでした・・・・。
日本に帰らないといけない日になりましたが、飛行機のフライトの関係で予定を少しずらす事が出来た為、仕事先や実家に連絡を取り事情説明をしました。
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カイハラ「え?!・・・・タクミが居なくなっちゃったの?!」
ニカ「そうなの・・・・もう私どうしていいか・・・・。」
電話口で頭を抱え込むニカ・・・・・・。
精神的にも肉体的にも相当な疲労でした・・・・。
カイハラ「・・・・ニカ!あんたが諦めちゃダメだよ!・・・・タクミは絶対に生きてるよ!!・・・・私も調べてみるから・・・そうだ・・・・あんたが撮った旅先での写真ある??私に送ってよ!!ミズノと一緒に確認してみるよ!!」
カイハラに言われた通り、スマホとデジカメで撮った全ての写真を送りました。
警察総動員で捜索してくれましたが、彼氏のタクミも、今回の事件を起こしたガマも見つかりませんでした。
仕方なく、日本に帰国する事になりました・・・・・。
ニカは一人で日本に戻り、またいつもの生活に戻りました・・・・・。
何か新しい情報が入れば、直ぐにホテルのロブが連絡をくれるという事で、連絡待ちです。
何日か経過した時、友人のカイハラとミズノが私の住むアパートにやってきました。
カイハラ「ニカ!・・・」
カイハラと抱き合いました。
我慢していましたが、大粒の涙を流しました。
机に座り、暗くなってしまった3人・・・・・。
タクミが居なくなってしまったショックを隠せず、無言になってしまいました。
そんな空気の中、友人のミズノが意を決して口を開きました。
ミズノ「・・・・・ニカ・・・どうしても言わなくちゃいけない事があるんだ・・・・。」
ニカ「・・・・・何??」
カイハラ「あのニカに送って貰った写真?・・・・」
ニカ「うん・・・・・」
カイハラ「何か失踪のヒントが無いかと思って、ミズノと2人で調べてみたのよ。」
ニカ「あぁ・・・・・送った写真を調べてくれたんだ・・・・・・・」
ミズノ「確実じゃない・・・・確実じゃないけど・・・・・一つだけ、たった一つだけ分かった事があるんだ。」
ミズノが震えながら・・・・言葉を一つ一つ・・・・話し始めました。
ミズノ「もう・・・見たくないかもしれないけど・・・・・この写真だ・・・・。」
カバンから1枚のニカが撮った写真を取り出しました。
タクミ、ニカ、ガマが映っているスリーショットの写真でした。
ニカ「うん・・・・この写真が・・・どうしたの??・・・・・」
ミズノ「このガイド?・・・・の胸元の・・・このタトゥー・・・あるだろ??」
ニカ「うん・・・・・」
ミズノ「このタトゥー・・・・・人喰い民族のタトゥーなんだ・・・・。」
ニカ「!!!!」
驚きを隠せず、机の上に置かれた写真を凝視してしまうニカ・・・・・。
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ミズノ「お前と・・・タクミが行った島・・・タクミが子どもの頃からずっと行きたがっていたこの島は・・・・・世界で最後の・・・最後まで人喰い風習があった島なんだ!!」
カイハラ「私、その話を聞いた時に本当に驚いた・・・そんな風習があることすら知らなかったのよ・・・。ミズノと一緒に大学の民族風習に詳しい教授が言ってたから・・・これは間違いないのよ・・・・・・。」
ミズノ「だからニカ・・・タクミは食われたんだ・・・・姿が見えない以上、タクミは食われてしまった可能性が高いんだよ。それが俺達が調べた結果だ・・・・・。ごめんニカ・・・・言おうか本当に迷ったけど、カイハラと相談して、やっぱりここは友人として話すべきだと・・・・。俺とカイハラだけ真実めいたものに迫って、タクミが一番大切にしていたお前にそれを伝えないのは絶対に今後、良くないんじゃないかって・・・・・そう思ったんだよ・・・。」
2日目の朝に釣りを終えて、タクミはガイドのガマと一緒にヤギ狩りに行きました。当然ヤギ狩り先の複数のコーディネーターとも話しましたが、タクミは約束の時間になっても来なかったと一言だけでした。準備していたので、事件でもなければキャンセル料を貰う所だと。
島全体がグルになっていれば、隠し通す事は出来たかもしれませんが、ロブやその他ホテルの従業員、そして島民達、私を助けてくれた子ども達は寝る間を惜しんで赤の他人の私の為に、島を離れる最後の日まで血眼になってタクミを探してくれていました。
警察が聞き取りに回っていた島の各所にも度々行きましたが、警察が私に教えてくれたことと全く同じことを言っていました。
旅行会社からも謝罪の電話がありました。現地ガイドを派遣する会社との意思疎通が取れていない部分があったと、責任者から謝罪がありました。
どこでガイドが入れ替わったかが問題ですが、元々来るはずだったロブとも友好関係にあるイカルドというベテランガイドは信頼のおける何年来の仲間に代わり頼んでおりました。しかしその仲間まで行方不明になっている状況・・・・・。
これらを考えると、どうしても島全体がグルだとは思えないのです・・・・・・。
タクミが見えなくなっているという現実、ミズノとカイハラが調べて来てくれたタトゥーの情報・・・・これらを掛け合わせ、考えてみると・・・・やけにしっくりきてしまいます。
いつまでも私は彼が帰って来てくれることを信じて日本で待っています。
ロブからの新しい情報の連絡を待ちながら・・・・・・。
信じるか信じないかは貴方次第です!!!