うつし世と並行する世界へ④~パラレルワールド~

不思議な話

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湯船の中にあった階段を駆け下りる2人。

 

一体なんの為にこんな階段を作ったのでしょうか。あの浴室はカモフラージュでしょうか。

 

階段を降りた先はなんと広い和室でした。地下に和室・・・・ざっと見渡す限り・・・200畳くらいあるでしょうか・・・。かなり広いスペースです。

 

コバシ「なんなんだここは!!」

 

けいちょ「気にするな!走れコバシ!!後ろから白装束が来てる!!」

 

白装束の人間が階段の上から叫びます。

 

白装束「あんたたち!!・・・もしかしてこの場所を知っていたのか!?」

 

半分怒り、そしてもう半分は驚き。そんな感情で大声をあげる白装束の人間が慌てて階段を降りていました。

 

追ってきます。得体のしれない生き物が襲い掛かってきます。

 

コバシ「くそー!まだ追ってくる!!」

 

私達はとにかく畳の上を全力で走り続けました。向こう側が行き止まりだとしても、少しでも生きながらえるなら走るしかありません。

 

力の限り走り続けました。

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

 

しかし、いつまで経っても向こう側の壁に辿り着くことはありませんでした。走れば走るほど、向こう側の壁が離れていっているように見えるのです。

 

もう一つの異変に気付く私・・・・。

 

なんだか・・・私の目の前を走るコバシの体が徐々に透明になっていっているように見えました。

 

けいちょ「コバシ!・・・なんかお前!体が変だぞ!!」

 

コバシの肩を掴もうとしましたが、何故か空振りしました。

 

え・・・掴んだはずなのに・・・・・。

 

ぐんぐんぐんぐんコバシは私から離れていきます。

 

けいちょ「コバシ?・・・・・」

 

立ち止まる私・・・・・・。

 

コバシは背中を向けたまま完全に私の目の前から姿を消しました。

 

一体・・・どこに行ってしまったのでしょうか・・・・。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

 

グサッ!!

 

途端背中の方から激痛が走ります・・・・・。

 

白装束「ここまで見られたらもぉ生かしてはおけん・・・・。」

 

白装束の人間が私の背中に刃物を突き刺していました。

 

けいちょ「うわあああああ!!!!・・・・・ああ・・・ああ・・」

 

あまりの痛さにその場で膝をついてしまう私・・・・。

 

 

しまった・・立ち止まってしまった・・・・。

 

白装束「あんたはこの施設の事をどこまで知ってるんだ??我々の事を・・・・」

 

けいちょ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

白装束「先日、建物の仮囲いからこっちを覗いていたのはあんただな??」

 

けいちょ「・・・・なんだっていいだろ。どうせこんな世界・・・あんたたちの作り物なんだろ??」

 

白装束「・・・・何わけの分からない事を・・・・」

 

ドサッ・・・

 

私の背中から刃物が抜け落ちました。畳の上に転がります。

 

白装束「お前・・・・」

 

私の体が先程のコバシと同様、透明になっていました。

 

けいちょ「・・・・そういうことか・・・・。」

 

白装束「・・・・これでお前も、さっき前を走っていた相棒も、もう二度と戻ってこれない。」

 

けいちょ「いいさ・・・。これでいいさ・・・。今までの人生・・・・何も無かったんだ。つまらなかった・・・・・。ここで居なくなってしまう事に対しては両親にも妹にも仲間にも申し訳ないけど・・・つまんなかった・・・。楽しむ努力はしたさ・・・でももう限界だった・・・。平和すぎて・・・・。」

 

白装束「そういう社会の方が良いに決まってる。何も考えずに生きる事ができるんだから。・・・・そちら側にいけば戦争があるぞ。人間同士で、仲間同士で奪い合う事になる。近い将来、必ず周りの人間達と憎しみ合う事になるだろう。とてもじゃないがあんたに対応できると思わんがね。」

 

けいちょ「対応??・・・向こうで幸せな・・・現実的な世界を想像しているよ。作った世界ではない、本当の人生を俺は送って行きたい。今の世界の若者全員に言いたい。・・・・こっちに来い!!こっちが本物なんだ!!自分で見て確かめるべきだ!!戦争も貧困も憎しみ合いも全て俺が見て来てやるよ!!絶対に生き延びてやる!!」

 

白装束「そこまで言うならやってみろ。必ず後悔する事になる。あんたが思っている以上に生きる事はつらく、悲しい事が待ってる。それでも良いと言うなら行ってみろ。新世界に!!」

 

私の体が更に肉眼で見えなくなるくらい透明になっているのがわかります。同時に意識も失いそうでした。

 

頭の中に何か渦のようなものが現れて、私自身を包んでいく事がわかります。包まれたと思ったら今度は自動的に吸い込まれて行きます。

 

吸い込まれるんじゃない。俺は自分の意志で行くんだ。

 

私はその気流の渦に向かい、走り出しました。自分から行くんだ。この世界と別れを告げるんだ。

 

父さん、母さん、妹、イケモト、リク、フミオ・・・・今までありがとう。いつかどこかで出会えることを信じてる。出来れば、向こうの世界で会えたらと思ってる。

 

コバシ、少し待ってろよ直ぐにそっちに行くから。

 

行くぞ!!新世界に!!

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